こんにちは。
セールスコピーライティング普及協会認定ライターの中岡です。
商品やサービスを販売する以上、必ず価格を伝えなければなりません。
そして、この価格が高いほど、財布の紐は固くなるため、成約に結び付きにくくなります。
ただ、高額品の価値を自然な流れで正しく伝えることで、むしろ「安い」と感じてしまう行動心理学があります。
そのひとつがアンカリング。
私の本業は宝飾品・時計等の高額品販売ですが、このアンカリングを使ったセールスは業界において常套手段でして、ライティングやコンサルティング業にも活かしています。
そこで今回はセールスを行う際に、重要となる行動心理学アンカリングについて、お伝えします。
アンカリングとは?
アンカリングとは、心理学者ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによる共同研究の中で見出された認知バイアスのひとつ。
アンカリングの語源は船の錨を下げて繋ぎとめる様子から生まれたもので、この錨の部分はアンカーと言われてます。
人間はこのアンカーに反応して決断する傾向にあるため、高額品である場合、妥当な価格で安く感じさせるようなアンカーを出すことが必要となってきます。
私たちは日々、「何を食べるか、何を着るか、どこに行くか」といったような無数の決断に迫られます。
そして、決断の多くは、様々な外部要因の影響を受け、自身の欲求や感情が動かされて決まります。
なぜなら、人間は最初に与えられた情報を基準にし、後から提示された数字や情報に対する認識が変わるようにできているため。
自分の頭で考えて判断していると思っていても、実は多くの無意識の思い込みが働いている結果なのです。
このように無意識の思い込みを使ったアンカリングは、商品やサービスの購入判断だけでなく、医療や士業の現場でも何かの意思決定する際に利用されています。
購買意欲の誘導に効果的な行動心理であるため、マーケティングやセールスの分野で活用する企業も多いのです。
アンカーに使うべき5つの情報
前項で「人間は最初に与えられた情報を基準にし、」とお伝えしましたが、何か決断させる前に与える情報のことをアンカーと言います。
それではセールスにおいて、どのようなアンカーを出せばいいのでしょう?
本項目ではそのアンカーについて、効果的な5つの情報をお伝えします。
定価と値引き価格
価格は、製品やサービスの価値を顧客に伝え、ビジネスの収益性を決定する重要な要素です。
特に高額商品の場合、適切な価格設定は顧客の購入意欲を大きく左右します。
アンカリングを活用した価格設定では、最初に提示する価格がその後の価格評価に大きな影響を与えます。
たとえば、最初に高額な価格を提示した後に割引価格を提示すると、お得感を与えるため、成約率が高まる可能性が上がります。
ただし、前提条件として、提供する商品やサービスが、そもそも見込み客のベネフィットを叶える内容となっていないといけませんのでご注意ください。
他社や他製品との比較
製品比較は、見込み客が自社製品と競合他社製品との違いを理解し、自社を有利に認識させるための手段です。
アンカリングを活用した製品比較では、自社製品の優れた特徴を最初に提示することで、評価基準となるアンカーを設定します。
たとえば、高級腕時計を販売しているとします。
競合他社の製品と比較する際に、まずは自社の優れた特徴(素材や機能、デザイン等)を強調して伝え、他社の特徴を伝えます。
最初に伝えた自社製品の優れた情報がアンカーとなり、他社製品が自社製品より劣っていると感じ、自社製品の購入に踏み切る可能性が高まるのです。
このような製品比較は、見込み客の製品に対する価値認識を形成し、購入意欲を高める強力なアンカーとなります。
稀少性の価値
稀少性を訴求した提案は、見込み客の購入意欲を刺激する強力な情報のひとつです。
商品やサービスが限られた時間や数量しか購入できないと知った場合、見込み客は手に入れるための行動を急ぐ傾向になります。
たとえば、ジュエリーを販売しているとします。
販売したい商品に対して「本日限りの特別価格」「先着10名様限定」といった制限を設けて、行動を促すのです。
これは、その商品が他の顧客に買われてしまうかもしれない、特別価格が終了してしまうかもしれない、という自身が損失を被りたくないという心理を利用したもの。
しかし、このような制限を設ける際には、見込み客に不信感を与えないよう、理由付けをして伝えることも重要です。
価格に見合った特徴や保証
高額商品を提供する場合、その価格以上の価値があるものと思わせるように正当化する必要があります。
たとえば、高級車を販売していたとしたら、エンジン性能、内装素材、安全性能など、製品の高品質な特徴をアンカーとしてお客様に伝えます。
この際に重要なのが、ボリュームと保証。
どれだけ優れた特徴があっても、その数が少ないと高額であることを正当化できなくなるため、たくさんの良い特徴を伝えること。
そして、商品やサービスを購入した成果や品質を保証するためのアフターサービスや保証制度も伝えることが重要です。
見込み客に有益な情報をたくさん伝えることによって、安心感や信頼感だけでなく、価格の妥当性を感じてもらいやすくなるのです。
テスティモニアル
テスティモニアルは証明書等を意味する英語ですが、マーケティングでは「利用したお客様の声」や「著名人の推薦」として使われます。
このテスティモニアルは製品やサービスの価値を証明し、絶大な信頼を得ることができる強力な要素。
既にご購入し利用されているお客様からの評価やレビューを集め、価格を伝える前にそれらの情報を提供します。
また、お客様の声が揃ってないとしたら、誰もが知る芸能人であったり、その業界の著名人に推薦をもらう、そういった情報を伝えることも効果的です。
これらのテスティモニアルは、顔写真や自筆書面などがあると、更なる社会的証明の価値を与え、成約率を高める一助となります。
まとめ
今回は高額品を安く感じさせる行動心理学アンカリングに関する内容をお伝えしました。
高額品を販売する際、突然その値段を見せると相手には”これは高い!”という印象しか与えません。
そのため、以下のアンカーを与えて、価格に見合った商品であることを伝える必要があります。
- 定価と値引き価格
- 他社や他製品との比較
- 稀少性の価値
- 価格に見合った特徴や保証
- テスティモニアル
アンカリングは、私たちの意思決定と行動に大きな影響を与える強力な心理的ツールです。
今回お伝えした内容がもし現在のセールスに反映されてないという方は、お伝えした内容を是非実践してください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。