こんにちは。
セールスコピーライティング普及協会認定ライターの中岡です。
以前お届けしたコラムで、「返報性」「一貫性」「希少性」「権威性」「社会的証明」の5つの心理的要素を組み込むことで、成約率が爆発的に上がるとお伝えしました。
今回は5つの中のひとつ、権威性について詳しくお話します。
人は権威ある存在からの指示に対して、従順となるようにできています。
これはアメリカの心理学者スタンリー・ミルグラムが科学的に証明したもので、ミルグラム効果と呼ばれています。
権威が強く、大きいほど、相手を思い通りに行動させることができ、セールスやマーケティングの世界でも使われている行動心理学です。
本コラムではこの権威性を用いることで得られる効果、どのように使えばいいのか?また、使用する上での注意点をお伝えします。
名刺やHPなどの販促ツールへの記載だけでなく、高額品のセールスにも効果的ですので、ぜひ最後まで目を通してください。
権威性の法則とは?
権威性とは「自発的な同意や服従を促す能力や関係性」を指し、日常生活でも使われています。
たとえば、本屋のベストセラー、レストランのミシュランガイド掲載店といった表記を見ることがあるかと思いますが、これらも権威性を活用したものです。
また、もっと身近な場面だと、体調が悪くなったら医師のいる病院へ行くという場面。
これは、医師が医師免許という、信頼できる資格を持った存在であることを私達が認識しているため。
人間の脳は意思決定を行う際、ヒューリスティクス(経験則や先入観に基づき直感で素早く判断すること)で判断します。
そのため、不確実性が高い状況下、専門知識や経験が必要な分野、あるいは判断が難しい高額商品の購入において、経験がない場合は権威性のある情報を求めにいくのです。
特に高額品を販売する際のセールス、マーケティングにおいて、権威性の情報は有効であり、以下の成果を出しやすくなるのです。
・価格に対する抵抗感軽減
・商談や契約までの時間短縮
・紹介やリピートの増加
・市場における優位性の確立
権威性を植え付ける7つのアプローチ
権威性には以下の7つのアプローチがあります。
・資格・肩書き
・成果・実績
・専門的知見・研究からの引用
・メディア実績
・第三者からの推薦
・受賞・認定歴
・コミュニティ・ネットワーク
本項ではそれぞれのアプローチについて、詳しく説明します。
資格・肩書き
資格や肩書きは、最も基本的かつ効果的な権威性の形態です。
たとえば、士業(税理士、弁護士など)や国家資格(医師、建築士など)は、その保持者が国が認めた水準以上の専門知識と能力を持っていることを保証します。
しかし、単なる資格の保有だけでは十分な権威性とはならないケースがあります。
「行政書士」という肩書きだけでなく、「相続対策専門行政書士」のように、特定分野への専門性を示すことで、より強い権威性を確立できます。
また、資格がなくても実績や成果があるならば、「〇〇専門コンサルタント」といった形で専門性を示す肩書きを使用することも効果的です。
成果・実績
具体的な数字や達成事例で示される成果は、説得力のある権威性として効果があります。
抽象的な成果よりも、売上上昇率、支援企業数など、具体的な数値で実績を示すことによって、能力の証明になります。
たとえば「コンサルティング実績100社以上」「累計売上30億円達成」「顧客満足度98%」といった具体的な数字で示すことで、相手に安心感を与えます。
また、「売上が3倍に」「コスト30%削減」といった具体的な改善実績を出し、Before/Afterの形で成果を示すことでも提供価値を伝え、権威性を相手に植え付けることも可能です。
専門的知見・研究からの引用
大学や研究機関からの論文引用、また専門家の見解を引用することは、科学的な裏付けを与え、権威性だけでなく、信頼性を高めることが可能です。
有名な研究機関、著名な専門家であればあるほど、権威性としての効果が発揮されます。
ただし、引用の際は必ず出典を明記すること。
そして、可能な限り最新のデータや研究結果を出し、自身が提供するサービスと紐づいた内容であることを伝える必要があります。
メディア実績
テレビ、新聞、雑誌などのメディアでの露出は、社会的認知度と信頼性を高める効果があります。
特に、業界専門誌での連載や経済紙への出稿記事は、専門家としての地位を確立する強力な裏付けとなります。
もちろんアナログだけでなく、オンラインメディアでの露出も効果的です。
有名なWebメディアへの寄稿、業界ポータルサイトでの掲載なども、権威性の構築に貢献します。
単純な露出数の多さ、一過性の話題作りでは効果が見込めないので、専門性を打ち出した質の高い内容であることが重要です。
第三者からの推薦
第三者からの推薦は、高額商品を提案する際において、極めて効果的な権威性の情報です。
なぜなら、他者からの客観的な評価は、自社による主張よりもはるかに強い説得力を持つため。
客観的な評価とは、著名人や業界の重鎮、実際にサービスを受けたお客様の声で、特に対象となる分野で高い評価を受けている人物であるほど、非常に強い権威性を生み出します。
特に直筆の推薦文や本人が出ている推薦動画やお客様との対談動画といったメディアは、商品やサービスの購入を促す上で有効です。
第三者(「を選定する際は」削除)は慎重に選ぶ必要がありますが、これらの情報は潜在顧客の不安や疑問を解消し、購買決定を後押しする権威となり得ます。
受賞・認定歴
業界における何かしらの受賞や、公的機関からの認定は、客観的な評価として強い権威性を持ちます。
たとえば「グッドデザイン賞」「日経優秀製品・サービス賞」といった知名度の高い賞。
また、ISO認証やプライバシーマークといった国際標準規格への適合も、商品やサービスの信頼性を高める権威性の情報に該当します。
これらは品質や革新性を証明する強力な指標となり、高額商品の購買判断を後押しする重要な要素となります。
ただし、近年では信頼性の低い認定制度や、購入できる賞も増えており、誰でも受賞できる賞だと、消費者の信頼を大きく損なうことに繋がるので要注意です。
コミュニティ・ネットワーク
高額商品の購買判断において、商品情報だけでなく、提供者の立ち位置や信頼関係が重視されることがあります。
そのため、業界団体での役職や地位といった情報は、その分野における深い知見者であると認識させ、権威性を与える重要な指標となります。
たとえば、「○○協会理事」「××研究会会長」といった肩書きがあるだけで、その業界に精通し、リーダーシップを発揮している証として捉えられます。
もし肩書きがないとしても、業界の専門家グループ・コミュニティに所属しているのであれば、そのような加盟情報でも専門性に繋げることができます。
権威性を使うに当たっての3つの注意点
権威性は、ビジネスにおいて強力な効果をもたらす一方で、使用する際には慎重なアプローチが必要です。
適切な方法を使わず誤った方法で権威性を使ってしまうと、却って信頼を失い、ビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。
本項では権威性を使う上で重要な3つの注意点について、解説します。
真実性の維持
権威性構築において最も重要なのが、真実性の維持です。
これは嘘の情報を使ったどうかといった倫理的な問題で済むものでなく、ビジネスの存続に関わる重大な要素です。
誇張や虚偽の表現は、短期的に効果が見込めるかもしれませんが、長期的には致命的なダメージをもたらす可能性があります。
インターネットが発達した現代では、情報の真偽はすぐに検証され発覚します。
たとえば、「業界シェアNo.1」という謳い文句を、実際のデータの裏付けなく使用した場合、その虚偽は調べようと思えば簡単に調査できます。
一度失われた信頼を取り戻すのは、ほぼ不可能と言っても過言ではありません。
実際にある健康食品メーカーが「臨床試験で効果実証済み」という宣伝文句を使用したが、その試験が極めて限定的で科学的な妥当性に欠けていたことが発覚。
結果として、多額の賠償金支払いを余儀なくされただけでなく、企業は信用を無くし、壊滅的なダメージを受けた例があります。
強力な謳い文句を使う場合は、その根拠を明確にし、具体的な数値や実績は、必ず検証可能な形で提示することが重要です。
お客様の声を掲載する際も、実在の声のみを使用しておけば、余計な誇張を入れずとも効果は発揮できますよ。
一貫性の維持
異なるメディアや場面で矛盾する情報を発信すると、権威性は急速に失われます。
これは、メッセージの一貫性だけでなく、事業領域や専門性についても同様です。
市場のトレンドに応じて専門領域を頻繁に変更する、そういったケースを目にすることがあります。
たとえば、あるコンサルタントが「営業改善のスペシャリスト」と発信したにも限らず、突如「デジタルマーケティングの権威」を名乗り始めるようなケースです。
このような急激な転換は、それまで築き上げた権威性を大きく損なう可能性があります。
個人でなく企業単位でも同様で、品質重視を掲げておきながら、低価格戦略に転換したことで、長年の顧客から信頼を失い、売上を落としてしまったケースもあります。
方針を変更すること自体は否定しませんが、変更に対する明確な理由付けと、段階的な移行を行わないと、このような結果に繋がることがあるのです。
過度な主張
過度な権威性の主張は、却って信頼性を損なう要因となりかねません。
特に高額商品やサービスを提供する企業にとって、この点は細心の注意が必要です。
情報化社会となった現在において、インターネットの閲覧者は極端な主張や過大な表現に対して、自然と疑念を抱くようになりました。
そのため、「日本一」「世界最高峰」といった表現を目にすると、「本当だろうか?」と逆に疑念を抱いてしまう可能性が高まるのです。
とあるコンサルティング会社が「業界最高峰の経営支援」というキャッチコピーを使い、様々な媒体で宣伝を展開したことがありました。
しかし、このメッセージに違和感を覚えた顧客が、詳しい調査を始めた結果として、実績がほとんどなく、裏付けのとれない内容であったことが発覚。
結果として、現在はその企業のHPもなくなり、企業の信用を大きく損なうことになりました。
権威性を求めるがゆえに過度な主張をしたくはなりますが、それより具体的な実績や事実を中心に据えた方が効果的なのです。
たとえば今回のケースだと「業界最高峰」でなく、「5000社以上の経営支援実績」といった数字を使ったメッセージであれば、権威性として信用を得ることができたかと思います。
まとめ
今回は権威性の法則について、お伝えしました。
この権威性は長年の実績と専門性の蓄積によって形成される要素が多く、一朝一夕には築けませんが、地道な努力によって、確実に構築することができます。
つまり、真摯に事業に取り組むことこそが、権威性の構築に繋がるのです。
今回お伝えした内容を実践いただき、あなたのセールスにおいて少しでも成約率が高まることができれば幸いです。
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最後までご覧頂き、ありがとうございました。