こんにちは。セールスコピーライティング普及協会、認定ライターの石井です。
起業家や経営者が商品・サービスを売る背景には、多くは理念やミッションのような熱い想いがあります。
- この商品を広めることによって〇〇な社会を実現したい
- 自分の講座で身に付けたスキルを通じて〇〇な人を増やしたい
- 自分の住んでいる地域を盛り上げたい
自分の高い志や熱い想いを適切に伝えると、長期的なファンとなるLTV(顧客生涯価値)の高い顧客の成約率が高くなります。
しかし、特にセールスの場面となると、理念、ビジョン・ミッションの伝え方を間違うと商品・サービスがまったく売れません。
なぜ、こんな両極端なことが起きるのか?
今回は「長期的なファン獲得に繋がるきれいごと抜きの理念、ビジョン・ミッションの伝え方」というテーマでお伝えします。
セミナーセールスなどプレゼンの際や、LPなどのライティングにも共通する話なので、最後までご覧ください。
最初から売り手の理念やミッションは聞きたくない
コピーライティングやプレゼンを含め、セールスの場面では、共通の原理原則があります。
それは、「顧客は自分の悩みを解決し、欲求を叶えることに興味がある」ということです。
- 太っているから痩せる方法を知りたい
- 稼げないから売上を上げる方法を知りたい
- お金が貯まらないから貯蓄や投資の方法を知りたい etc……
このような、自分事として捉えられることだけ関心を示し、他人事には耳を貸さないのです。
だから、どんなに自分の辛い過去を赤裸々に語り、涙ながらに商品・サービスに対する熱い想いを語っても、顧客は何も聞いていません。
せいぜい、「お願いだから買って~」と押し売りしている印象しか与えず、むしろ逆効果です。
セールスの場面では、理念、ビジョン・ミッションなどの熱い想いよりも、まずは顧客が求めていることに応えることが重要です。
このあたりのことは、以下のコラムに詳しく紹介されているので、合わせてご覧ください。
理念やミッションのある人を信用して応援したくなるのも事実
しかし、顧客に理念やミッションなどの熱い想いをまったく語らなくていいかと言われれば、そんなことはありません。
なぜなら顧客は理念やビジョン・ミッションが明確な人の方が、信頼したくなるためです。
また、共感できるような理念やミッションがあれば、顧客は信用に加えて「応援したい」「一緒に関わりたい」という気持ちも湧いてきます。
冒頭でお伝えしたように、うまく伝えれば長期的にファンとなるLTV(顧客生涯価値)の高い顧客獲得に繋がります。
つまり、最初から熱い想いをひたすら語るのは逆効果ですが、どこかで理念、ビジョン・ミッションは伝えると効果的になるのです。
理念、ビジョン・ミッションを伝えるための3つの重要ポイント
今までお伝えしたことを踏まえて、理念、ビジョン・ミッションを語るうえで3つの重要ポイントをお伝えします。
理念、ビジョン・ミッションを伝える順番を守る
理念、ビジョン・ミッションといった自分の熱い想いを語るうえで、一番重要なポイントは伝える順番です。
顧客の悩みを解決するか、欲求を叶える商品を提案する
↓
実績や証拠を示しながら、商品開発のストーリーや理念、ビジョン・ミッションを伝える
LPやステップメール、プレゼンの構成を考えるうえの原理原則の1つに「よしこいの壁」があります。
「よしこいの壁」とは、人間の特性である「読まない」「信じない」「行動しない」「今すぐ行動しない」の壁を打破することで購入に繋がる法則です。
①「読まない」の壁:LPのファーストビューなどで伝えるターゲットの悩みや欲求(問題提起)、衝撃の事実(常識破壊)、ベネフィット etc……
②「信じない」の壁:お客様の声、実績、Before After、推薦の声、信頼できるデータ、権威性、メディア掲載、具体的ノウハウやメカニズム、比較表、プロフィール、ヒーローズジャーニー(開発秘話) etc……
③「行動しない」の壁:価格、注文方法、申込ボタン周り、Q&A etc……
④「今すぐ行動しない」の壁:期間限定価格などの緊急性・限定性
よしこいの壁は、①⇒②⇒③⇒④の順番で展開します。小説や映画の起承転結と同様に、この順番を守ることが鉄則です。
では、理念やビジョン・ミッションはどこになるかというと「信じないの壁」になります。
「読まないの壁」の段階では早すぎます。先ほどお伝えしたように、いきなり自分の熱い想いを伝えても、顧客には押し売りにしか聞こえません。
まずは、顧客の悩み解決や顧客の欲求に応えることが先です。
また、同じ「信じないの壁」でも、豊富な実績や強いお客様の声、強い権威性や、とっておきのノウハウがあれば、そちらを優先しましょう。
まずは、商品価値を正しく伝えることが重要なためです。
その次に理念、ビジョン・ミッションを伝えると、信用性に箔が付き、さらに自分の想いに共感した、LTVの高い顧客を多く集めることに繋がります。
理念、ビジョン・ミッションはプロフィールや開発秘話で伝えることがおすすめ
理念、ビジョン・ミッションを伝える最適なパーツは何かというと、具体的には主にプロフィール、ヒーローズジャーニー(開発秘話)、追伸などです。
プロフィールを例にすると、商品・サービスのターゲット顧客の一貫性の保ちながら、主に次のことを掲載します。
- これまでの活動と経験(大変だった過去など)
- ビジネスや商品開発のきっかけ
- これまでの活動と経験
- 現在のビジネスの実績や権威性
- 今後の目標や理念、ミッション
必要ならば開発秘話やヒーローズジャーニーもこの流れで記載し、実績や権威性、開発ストーリーや想いが詳しく伝わるように記載しましょう。
ヒーローズジャーニーについては、こちらを参考にしてください。
商品・サービスとは関係ない熱い想いは語らないこと
基本的には、自分の長期的な夢や今後のビジョンを伝えることで問題ないのですが、商品・サービスとの一貫性には注意しましょう。
複数の商品・サービスを持っている方の場合、プロフィールや開発秘話と商品に意外とずれがある場合があります。
また、これまでの活動や経験や、大変だった過去も、ターゲット層が自分事と捉えられるかどうか考えるようにしてください。
あまり商品・サービスに関係のない話の場合は共感が得られません。
熱い想いや辛かった過去ほど、どんどん語りたくなる気持ちもわかりますが、場合によっては思い切って省くことも必要です。
例外的に熱い想いから話した方がいい場合もある
今回お伝えしたことは、あくまでセールスの場面なので、最初から理念やビジョン・ミッションからお伝えした方がいい場合があります。
例えば、寄付型クラウドファンディングのLPや求人広告など、セールスとはまた違う話になる場合です。
特に求人広告については、以下の記事で詳しくお伝えしています。スタッフを採用する際は参考にしてください。
【まとめ】熱い想いも伝える順番と一貫性が重要
以上、共感されて成約率を高めるきれいごと抜きの理念、ビジョン・ミッションの伝え方についてお伝えしました。
今回は、少し今までと違う異色の話をしましたが、意外と自分の想いを熱く語るあまり、顧客のニーズを忘れがちになることがあります。
理念、ビジョン・ミッションは伝える順番が適切であれば効果的ですが、そうでなければ逆効果になります。
最初は、商品・サービスのニーズを考え、価値を十分伝えることが重要です。
ただ単に売上・利益を追求するだけでなく、高い志を持って商品・サービスを販売しているのであれば、自分の想いを効果的に伝えましょう。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!