【返報性の法則】高額品をセールスする上で取り入れるべき行動心理学

こんにちは。
セールスコピーライティング普及協会認定ライターの中岡です。

先日お届けしたコラムで、セールスに5つの心理的要素を組み込むことで、成約率が爆発的に上がるとお伝えしました。

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その5つとは「返報性」「一貫性」「希少性」「権威性」「社会的証明」。

この中で最も汎用性が高く、私生活や職場など身近なところに使われている心理的要素があります。

それは「返報性」で、「相手からの言動に対して、ついお返しをしたくなる」という人間の心理を利用したもの。

食べ物を購入する際に必ず訪れるスーパーマーケットでは、この心理を用いたセールスがふんだんに使われてます。

たとえば、美味しそうな調理の匂いのするウインナーの試食コーナー。

これは無料で商品を与えることで、「なんだか申し訳ないわね…」と相手に思わせ、商品購入へと促す行動心理を使ったセールステクニックです。

ただ返報性はスーパーで販売されている低価格品だけでなく、数十万円以上するような高額品をセールスする際にも役立てることができます。

そこで今回は心理的要素の中でも、接客からセミナーセールス、広告媒体まで幅広く使える返報性について、お伝えいたします。

目次

返報性の法則とは

人間は他人から何かを受け取ったとき、その恩恵を返す行動を取るようできています。

これは社会的なルールや倫理によって形成された人間の感情行動であり、年齢・性別・国や地域に関係なく働く行動心理学。

そのため、マーケティングの世界でも重要視されており、高額品を販売するセールスを行う上でも即戦力となります。

返報性を感じる行為には「好意」「譲歩」「自己開示」があり、これらを組み合わせて、セールスにおける初対面での人間関係構築に使われます。

本項ではこの3種類の返報性について、詳しくお伝えします。

①好意の返報性

好意の返報性とは、相手から受けた好意に対して、何らかの形でお返しをしたくなるという人間の心理です。

高額品の成約にはセールスまでの動線も重要ですが、それ以前に人間関係を構築することが重要となってきます。

相手からの相談に時間を掛けて親身に話を聞いたり、普段は展開しない有料情報を提供するといったことを行い、ビジネス上での好意を持たれることで人間関係を高めます。

ただし、お伝えしたように好意の返報性はお返ししたくなる心理を利用するもの。

先に相手から行動されてしまい、あなたが後発となってしまうと成立しないため、まずはあなた自身が積極的に行動する必要があります。

<セールスにおける例>
・初対面の方が接しやすいようこちらから笑顔で接する
・受講してくださった方に過去のセミナー資料もお付けします
・最初の1か月間は無料でサービスをご利用いただけるようにします

②譲歩の返報性

譲歩の返報性は、相手が譲歩すればするほど、自分も譲歩したくなる心理です。

相手が譲ってくれたから、自分も譲ろうという心理で、相手が「どうぞ」と席を譲ってくれると、「いえいえ、あなたこそどうぞ」と譲り返したくなるのが譲渡の返報性。

よくあるシチュエーションとしては、相手が仕事で困っていた際にお手伝いするというシーン。

お手伝いした後に、もしも自分が困ったときには相手が手伝ってくれやすくなりますが、これは譲歩の返報性によるものです。

また、譲歩の返報性を応用したテクニックとして、ドア・イン・ザ・フェイスというものがあります。

これは最初に大きな要望をし、相手にいったん断らせてから、最終的に小さな要望を通しやすくする、という高額品を販売するセールスにおいて、重要なテクニック。

相手がこちらからの提案を断った際に感じる罪悪感や後ろめたさから、「小さい提案なら受けてみよう!」…という心理になるのを利用します。

最高級の商品はダメでも、その次やエントリーの商品の購入を受け入れてもらいやすくなります。

<セールスにおける例>
・こちらの商品は本日限りの特別価格で提供します
・購入しても成果が出なかった場合は全額返金します
・松竹梅と3種類の商品を準備し、最も高価な松から提案

③自己開示の返報性

自己開示の返報性は、自分の情報を開示することで、相手も自身の情報を開示してしまう心理です。

相手が自己開示してくれたから、その代わりに自分も自己開示しないといけないという気持ちを利用したものです。

初対面の相手から質問攻めを受けるといい気分にはなれませんが、相手がオープンな態度で接してくれるとどうでしょう?

ほとんどの方は、後者の場合だと心を開いて気持ち良く話せるようになるかと思います。

このように自己開示の返報性は特に初対面で人間関係を構築する際に効果的であり、ギクシャクした関係、腹を割って話せない関係を崩す際に使われます。

自己開示の返報性を活かすなら、積極的に自己開示することが重要で、自分の人間性や性格を理解してもらえるほど、相手からも信頼されやすくなります。

プロのカウンセラーはまず相手から話を聞く前に、自身の年齢や家族構成などのパーソナル情報、過去に失敗した経験を最初に話して信用を得ます。

相手の心の壁を壊し、徐々に話したくなるような人間関係を構築するため、まずは自己開示することが重要なのです。

<セールスにおける例>
・セミナー受講者への挨拶は主催者側から自己紹介を行う
・自分が知りたい情報と同じ程度の情報をこちらから伝える
・ポジティブな情報ばかりでなくネガティブで弱みを見せる情報を伝える

返報性を扱う上での注意点

前項では成約率向上に欠かせない3つの返報性をお伝えしました。

これらのテクニックは成約率や売上を高めるものとして、高額品を販売するセミナーやセールスには必要なものです。

そんなセールスにおいて威力抜群な返報性ではありますが、いくつか注意点があります。

本項では返報性を使う上での注意点をお伝えします。

目的を関係構築に留める

たとえば返報性を利用して、無料の体験サービスを提供したとしましょう。

あまりにもそのサービスを早い段階で伝えてしまうと、相手には「売り込みされるんじゃないか?」という印象を与えてしまいます。

こちらの善意より売り込み感が勝ってしまったら、返報性は成立しません。

そのため、相手が購入してくれることに対して、期待を持ちすぎず、関係構築ができる前の早い段階で特典を与えないことが重要です。

最悪な場合は「売り込みされた!」などの悪い口コミに繋がる可能性もあります。

商品やサービスを買ってもらいたい気持ちは分かりますが、返報性を利用するなら、あくまでも関係構築のひとつとして取り組むことが大事です。

多用し過ぎない

返報性は「相手から何かされたら、お返ししなきゃ」という心理を使ったもの。

ただ、こちらからのサービスや特典が多すぎてしまうと、返ってストレスに繋がることもあります。

相手に負担を重ねてしまうことによって、「こんなに**されてもいいのかな…」「どうやって**にお返しすればいいのか」と考えさせてしまうのです。

そうなると、受けた側としてはお返しするよりも、義務感や不安感など圧力に感じてしまい、受け取りたくないと思わせてしまいます。

喜んでもらえる!…と良かれと思っても、度が過ぎると逆効果となる認識を持っておきましょう。

相手に負担を掛けさせない

相手のためとはいえ、お届けする商品やサービスの内容が充実しすぎてしまうと、逆効果に感じられることがあります。

前項でお伝えしたように、人は何度も相手の行動を断ることで心理的負担が溜まり、相手との接触を避けるようになってしまいます。

そして、この負担は回数だけでなく、贈り物の内容も重要であり、高価な物やサービスになればなるほど、相手の負担となって蓄積されます。

お返しさせたくなる心理を使う返報性において、相手への贈り物やプレゼント、無料サービスの選定は重要なところです。

相手のことを考えて、適度に、そして緩急をつけた贈り物を準備しておく必要があります。

マイナスに繋がる敵意の返報性

これまではビジネス・セールスにおいて、優位に進めることができるテクニックの内容をお伝えしてきました。

しかし、使い方によっては関係性を悪化してしまうこともあります。

その返報性というのが敵意の返報性。

これは、ネガティブな発言や批判的な行動を取ってしまうと、相手も同じような言動を取ることを指します。

一方が相手を否定すると、その相手も同じように否定で返し、言葉の押収へと発展し、最終的には取っつき合いの喧嘩にエスカレートすることも…。

最近ではとある国が経済制裁を行うと、対象となった国は報復措置を取り、両国間の関係悪化に繋がりますが、これも敵意の返報性です。

このように政治的な場面で良く見るかと思いますが、ビジネスでもよくあることです。

たとえば、何か新しい企画を出すに当たって、せっかく考えてきたアイデアを全否定すると、最悪なケースとして、その人の人格否定に繋がってしまうことがあります。

この敵意の返報性を回避する上で大事なのは、相手の意見を取り入れる包容力。

もし、見込み客から否定的な意見を言われても、そこはグッと気持ちを抑えること。

一度意見を取り入れる、反論理由を特定するなど、気持ちを落ち着かせて冷静に対処することが重要です。

関係性構築に抜群な返報性

今回は高額品をセールスする上で重要な行動心理学のひとつ、返報性の法則について、以下の内容に沿ってお伝えしました。

  • 返報性の法則(好意・譲渡・自己開示)とは
  • 返報性を扱う上での注意点
  • マイナスに繋がる敵意の返報性

この返報性は、有名なビジネス書「影響力の武器(著者:社会心理学者 チャルディーニ博士)」でも紹介された、有名な人間心理学のひとつです。

冒頭でお伝えしたようにビジネスに限らず、バレンタイン等のイベント、恋愛でのコミュニケーションにも応用されている汎用性の高い心理学。

この返報性を利用し、見込み客との関係性を構築することで、販売したい商品やサービスの成約率、販促物の反応を圧倒的に上げることも可能です。

あなたが展開しているビジネスにも、お伝えした返報性を組み込み、事業に活かしていただければ幸いです。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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