こんにちは。セールスコピーライティング普及協会の吉村です。今回は「セールスにおいて最も重要な顧客心理」ということについてお話していきたいと思います。
セールスを成功させるためには顧客を理解しよう、顧客に寄り添った提案をしようということがよく言われているので、顧客心理の重要性を十分に理解されている方も多いのではないでしょうか?こちらがいくらすごいこと言っても、お得な提案をしたとしても最終的にそれを受け入れて、購入するかどうかを決めるのは顧客なので、顧客心理を理解する大切さはいくら強調しても足りないのです。
では、最も重視するべき顧客心理とは何でしょうか?
ああなりたい、こうなりたい、という欲求でしょうか?
もしくは、「これだけは避けたい」という恐怖でしょうか?
他の人から尊敬されたり、よく見られたりしたいという感情でしょうか?
もちろん、どれも大切なものですが、今日あなたにお伝えするのは「人間が持つ最も強力な感情」といっても過言ではありません。それは、「何としても損失を回避したい」という心理です。このことをしっかりと抑えておくだけで、セールスの効果を劇的に高めることもできるので、ぜひしっかりと頭に入れておいてくださいね。
1.人間は「損失回避」の生き物
人間は何かを失うことや損失を被ったりすることにとても敏感です。それは、本能に深くプログラミングされた性質なのです。数十年も生きてきたのであれば、あなたも何かしら経験があると思いますが、
家、車、家具、自分のお気に入りの物が壊れたりなくなったりしてしまった
家族、友人、恋人など大切な人との関係が壊れてしまった
本来もらえるはずの物がもらえなくなった
このようなときに、私たちは精神的に強い痛みを感じるようにできています。もちろん、手に入ったときの喜びもあったはずですが、失った痛みの方が鮮烈に記憶に残っているのではないでしょうか?
なぜかというと、わたしたちの先祖はこのようなことに非常に敏感だったからです。不確定要素に満ちた私たちの先祖が暮らしていた時代においては、食糧でも、家でも、人間関係でも今持っているものを失うということは生命の危機を意味していたのです。(特に食糧については、持っているものがなくなると、次にいつ手に入るかわからない状態だったのです)
人間が何としても損失を回避したいという性質を持っていることは、心理学者のダニエル・カーネマンによって「プロスペクト理論」と名付けられているのですが、あたりを見回してみると「損を避けたい」という心理に基づいた行動が至るところで見られます。例えばどんなものがあるかというと、、、
いつも同じものを選ぶ
いつも食べているもの、いつも通っている道、いつも買っているものであfれば、自分がよくわかっているので安心です。ですが、これまでしたことがないことをするとき、買ったことがないものを買うときは、「本当に大丈夫かな…?」と不安になります。結果、多くの人がいつもの選択肢を選んでしまうのです。
人気のものを選ぶ
自分では「これがいいかな…」と思っていたとしても、人気NO1という文言が目に入って、ついついそれを選んでしまうという経験はあるのではないでしょうか?これは「みんなに選ばれているのだから損はしないだろう」という心理が隠れているのです。
真ん中を選ぶ
レストランのメニューなどで、大中小の3種類から選ぶとき、何となく「中」を選んでしまう人は多いのではないでしょうか?選んだメニューが美味しくなかったら嫌だという理由で「大」を避け、逆に美味しかった場合のことを考えて「小」を避け、結果的に中を選ぶと考えられているのですが、これも人間の心理的な傾向なんですね。(確かに、真ん中を選んでおけば間違いない気はしますからね)
などなど、例を挙げればキリがありません。ここまで読んで、「人って思った以上に臆病なんだな…」と思った方もひょっとしたらいるかもしれませんね(笑)
2.セールスで最も意識して伝えること
では、「何としても損を避けようとする」という人間の心理をどのようにセールスに応用していけばいいのでしょうか?
今の時代はネットなどで情報が溢れているので、お客さんは「どれを信じたらいいの?」「本当にこの商品を買って大丈夫かな?」と疑い深くなっています。
だからあなたがセールスをする上で気をつけることはたったの一つ。「私の商品・サービスを買っても決して損することはありませんよ(むしろ、買わない方が損ですよ)」ということをひたすらアピールするのです。
ここからは、セールスのときに使える具体的なテクニックをいくつかご紹介していきます。どれか一つでも取り入れればお客さんの反応が変わってると思いますので、ぜひ「自分の場合はどうやって使えるかな?」と考えながらご覧ください。
3.実践!セールステクニック
①得られるメリットがコストを上回ることを言う
何か形のあるものを購入しようとするときは、期待通りに動いてくれるのか、すぐに壊れないのか、ちゃんと自分で使うことができるのか、自分の部屋に合うのか…などなど様々なことを考えるでしょう。
そして、セミナーなどの形のないものであれば、ちゃんと知識やスキルを習得することができるのか、セミナー代金を回収できるほどの売上を上げることができるのか、きっと考えてしまうでしょう。
そこで、まずあなたがしなければいけないのは、「私はあなたが払うお金以上に価値のあるものを提供しますよ」と伝えることです。それは商品やサービスの性能をプレゼンすることかもしれませんし、セミナーであれば過去の受講生の実績を紹介してもいでしょう。
見込み客は少しでも不安だと思ったら購入してくれることはないので、とにかくあなたの商品やサービスが価値>価格であり、十分に買うだけの価値があることを伝えることが大切です。
②過去の実績や顧客の声を使う
人は購入するかを決める際に、他の人の意見や商品のイメージなどを大いに参考にします。例えば、芸能人が推薦しているだけで「この商品は何か良さそうだな」と思うでしょうし、テレビでよくCMをやっている商品は安心して購入できそうな感じがしますよね?「芸能人とか、CMとかって大企業の話でしょ…?」と落胆する必要は全くありません。
もしあなたがこれまで商品・サービスを販売してきて、お客さんの累計人数、出した成果、満足度、お客さんの声など使えるのであれば、それは見込み客に安心して購入してもらうための大きな要素になります。
こういったものをきちんと伝えることで、購入を検討している人に「こんなに満足度が高いのであれば大丈夫だろう(買って損はないだろう)」と思ってもらうことができるのです。ぜひ積極的に使ってみてください!
③保証をつける
あなたは「満足できなければ返金します」という文言を見たり、そのような商品を買ったことがあるのではないでしょうか?このように保証をつけるというのは、安心して買ってもらうための強力な武器になります。なぜなら、見込み客は「もし思っていたものと違ったら返金すればいいか」と気軽に商品やサービスを試すことができるからです。
また、Amazon primeやNetflixなどのビデオストリーミングサービスで見たことがある人も多いと思うのですが、一定の期間は無料でサービスを利用できるようにするのも有効です。
保証やお試し期間をつけるというと、「多くの人が返金を要求してくるのではないか」「売上が減ってしまうのではないか」と心配になるかもしれませんが、実際はそこまで返金が発生しないことがほとんどです。自分の商品に自信がある方や、まずは一回でもサービスを試してもらいたい方には非常にお勧めの方法です。
④希少性を高める
最後に希少性を高めるという方法です。もう少し具体的に言うと、商品やサービスを購入できる期間や、数量を限定してしまうのです。なぜならば、人はめったに入らないものを貴重なもの、価値の高いものと見なす傾向にあるからです。あなたも旅行先でご当地限定のお菓子を買ったり、コンビニで期間限定のスイーツに目が止まったり、数量限定の商品が欲しくなったりしたことがあるのではないでしょうか?
なぜ人は、このように希少なものを欲しくなるのかというと、「早く買わないと手に入らなくなってしまう」つまり、買わないことで逆に損をしてしまうかもしれない…という心理がはたらくからです。なので、もしあなたが自分の商品やサービスの魅力を十分にアピールできているのであれば、あとは何らかの形で希少性を高めてあげましょう。一気に成約率が高まるはずですよ。
4.買わないと損だと思わせたら勝ち
ここまで、人間は損を嫌うこと、セールスのときには「この商品を買っても損はないですよ」というメッセージを伝えるということをお伝えしてきました。実際にセールスの場面で使えるテクニックやノウハウもいくつかご紹介しましたが、一番大切なのは顧客の心理です。
だから、「どのようにすれば安心して買ってもらえるか?」ということを一番に考えていれば、細かいテクニックなどのやり方は自分でいくらでも生み出すことができるでしょう。
逆に、テクニックばかり覚えていても、あまり効果はないかもしれません。(一時的に効果はあるかもしれませんが、状況が変わってしまったときに使えなくなるかもしれません)
くどいようですが、フォーカスするべきは顧客の心理です。ノウハウやテクニックではありません。なぜなら、冒頭でもお伝えしたように、最終的にあなたの商品・サービスを購入するかどうかを決めるのは顧客だからです。
テクニックやノウハウを学ぶことはもちろん大事ですが、それだけを追い求めるのではなく、目の前の見込み客はどのようにしたら安心して購入してくれるかを一番に考えてセールスをしていきましょう。そのような考えでセールスをすれば、きっと成約率や売上といった数字もついてくるでしょう。