こんにちは。セールスコピーライティング普及協会の吉村です。
セールスが上手な人と聞いてあなたはどんな人を思い浮かべますか?巧みな話術で人を引きつけて飽きさせない、セールストークがうまい、何となくこのようなイメージがあるのではないでしょうか?
書籍やネットでも「売れるセールストークのテンプレート」「この順番で話すだけで成約率が2倍」といったような情報が溢れていることからも、セールスが得意な人=セールストークが上手な人と考えている人が多いように思います。
しかし、意外に思われるかもしれませんが、売ることが得意なセールスマンは必ずしもセールストークが得意な人ではないのです。そして、自分が話す時間よりも見込み客が話している時間の方が多いということも全く珍しいことではないのです。ですが、もちろん彼らはただ黙っているわけではありません。巧みなセールストークをする代わりに「あること」をとても上手に行っているのです。
勘のいい方はもうお分かりかもしれませんが、それは「質問」です。高い確率で売ることができるセールスマンというのはほぼ例外なく、質問を使いこなしているのです。では、一体なぜ質問をすることが商品・サービスの成約に結びつくのでしょうか?
1.「自分ごと」として注意深く話を聞いてもらえる
セールスのときに質問を使うことの大きなメリットの一つはこちらが言った言葉を「自分ごと」として注意深く聞いてもらえるということです。残念ながら、人は基本的に自分に関係がないと判断したものや興味のないものには見向きもしません…。全ての情報に全て反応していたら頭がパンクしてしまうので、脳には自分に関係ない情報を遮断するような省エネ機能が備わっているのです。だから、一方的にセールストークをしてもそれがよほど面白いものでなければ注意を引き続けて、最後まで話を聞いてもらうのは難しいと思います。
ですが、人は質問されると反射的に答えを考えてしまう傾向があるので、質問することで、一気に話の内容に注意を引くことができるのです。例えば、セミナーや会社の会議などで話をぼんやりと聞いていて「◯◯さんはどう思う?」と急に質問されたら、それまで何も考えてなかったとしても、いきなり自分事として色々と答えを考え始めるでしょう。
上の例は少し緊張感があって嫌な場面ですが(笑)、基本的にはセールスのときも同じで、「◯◯さんはこのサービスがあればどんな未来が手に入ると思いますか?」「これって◯◯さんにとって非常に価値があると思いませんか?」というように質問を挟むことで、見込み客の注意を引き続けることができるのです。
特に今の時代はスマホの普及によって、話を注意力を持って聞き続けてもらうことが難しい時代になりました。だからこそ、質問の力を使っていかに話を聞き続けてもらえるかがセールスの成否を分けるのです。
2.見込み客と良好な関係を築くことができる(見込み客に好かれる)
「質問」を使うメリットの2つ目は、見込み客との良い関係を構築できること。質問によって、見込み客に好かれたり、好感を持たれる可能性が高まるのです。
「どうして質問することで人と良い関係が築けるの?」と不思議に思う方もいらっしゃるかと思いますが、それは、多くの人は話を一方的に聞くよりも自分が話す方が好きだからです。
周りを見渡してみると、フェイスブックやTwitterには「私のことを見て!」とばかりに旅行先や食べた物の投稿が溢れ、カフェは昼間からおしゃべりをする主婦で賑わい、夜は居酒屋で「いかに自分の仕事が大変か」ということをアピールする人も少なくないと思います。(自分の話を聞いてもらいにキャバクラに通う人もいます)
このように見てみると、「人は自分のことを話すのが大好き」というのが納得いただけるのではないでしょうか?だから、セールスにおいても一方的に話を聞かされるのは苦痛でしかないのです。
これを読んでいるあなたも、全く興味のないセールストークを延々とされて不快な思いをした経験があるのではないでしょうか?ですが、ここで「それは大変ですね、、、他に困っていることはありますか?」「一年後はどんな状態になっていたいですか?」などと、こちらから質問をしてあげることで、見込み客に自分が普段抱えているフラストレーション、問題、葛藤、将来の理想の姿などを気持ちよく話してもらうことができるのです。
そして、人は自分の話をよく聞いてくれる人に親近感を感じたり、好意を持ったりする傾向があります。「自分のことを理解してくれる人=自分の見方」と認識するのでしょう。確かに自分の身の上話などを、うんうんと相槌を打ちながら聞いてくれる人っていい感じがしますよね?(あなたもお年寄りの話を親身になって聞いていたら、気に入られてしまった、という経験があるかもしれませんね)
そして、「好意を持ってもらえる」というのはセールスにおいてとても有利になります。というのも、当たり前に聞こえるかもしれませんが、人は赤の他人よりも好意を持っている人から物を買いたいと思っているからです。(心理学の名著『影響力の武器』には、人は好意を持っている人からされた提案はついつい受け入れてしまう、ということが書かれています)
人と良好な関係を築くというと少しハードルが高いと思うかもしれませんが、あなたは「質問」をするだけ。たったそれだけで、良い関係を築いてセールスの成功率を高められるとすれば、質問を使わない手はないですよね?
3.見込み客の欲求や悩みを知れる
質問することの3つ目のメリットは当たり前に聞こえるかもしれませんが、見込み客のことを知れるということです。見込み客のことを知れば知るほどセールスは簡単になっていきます。
というのも、「こんなことで悩んでいるんだけど、、」「こんなのがあったらいいのにな」という見込み客の悩みや欲求がわかれば、自分の商品やサービスを紹介するときに、
「それならこの商品(サービス)ですぐに解決できますよ」という形で話をすることができるからです。
見込み客の悩みや欲求はビジネスにおいて超がつくほど大切なものなので、大手企業などは巨額のお金を投じてリサーチすることも珍しくありません。ですが、もしセールスの際にあなたが質問を使いこなすことができれば、見込み客から貴重な情報を無料で手に入れることができるのです。
例えば、
- 今はどういうことで困っているのか?
- 将来はどうなりたいと思っているのか?
- 商品の購入を迷っているのはどんな理由があるからなのか?
- 他に購入を迷っている商品はあるのか?
質問の仕方によってはこういった情報を引き出すことができるでしょう。逆にこちらが一方的にセールストークをしてしまうと、「ちょっとは興味あるのかな?」「あんまり集中して聞いてくれてないな…」といったように、相手の態度や表情を見てこちらで想像するしかなくなってしまいます。
質問をすることで相手から購入に繋がる貴重な情報を得ることもできますし、その場で購入まで繋がらなかったとしても次のセールスの改善に役立てることができます。セールスを簡単にするためにも、ぜひ質問を積極的に活用していきたいところですね。
今日のまとめ
今日はセールスにおける質問の重要性についてお話していきましたが、いかがだったでしょうか?なぜ話のうまさや巧みなセールストークは必須ではないのか、なぜ売れるセールスマンはほぼ例外なく質問をうまく使っているのかおわかりいただけたのではないでしょうか?
質問によって得られるメリットをまとめると、
- 注意力を持って話を聞いてもらえる
- 好意を持ってもらえる
- 見込み客の情報を知ることができる
ということでした。
セールスが上手になるために話の練習をする必要もありませんし、セールステンプレートを暗記する必要もないのです。むしろ、質問を積極的に使っていくことで、あなたが話す割合はどんどん減っていくでしょう。普段のセールスに意識して質問を取り入れるだけで本当に多くのメリットがあります。ぜひ試してみてください。