こんにちは、セールスコピーライティング普及協会、認定ライターの重田です。
高単価商品を販売するにあたって、販売価格を超える価値、すなわちベネフィットを感じてもらえるかどうかが非常に重要であることは、よく知られています。
ベネフィットとは、顧客が商品から得られる効果や利益を指す用語ですが、さらに細かく分けると、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、自己実現ベネフィットの3つに分類されます。
そして、お客様に「何十万円、何百万円を積んででも買いたい!」と思わせるためには、セールス時に自己実現ベネフィットを盛り込む必要があるのです。
私はこれまでに高単価商品のセールスプロモーションを実施してきましたが、大成功に終わったプロモーションの共通点として、自己実現ベネフィットをうまく活用していたことが挙げられます。
自己実現ベネフィットをセールスの中に上手く活用することができれば、売上の桁を増やすことができます。
今回は経営者なら知っておくべき、自己実現ベネフィットの意味、活用すべき理由、そして活用方法についてお伝えいたします。
アーカー氏が提唱するベネフィットの3分類
自己実現ベネフィットとは何かを説明する前に、ベネフィットは3種類に分けられて、それぞれ意味合いが違うことを知っておかなければいけません。
ブランドの神様といわれている経営学者のデイビッド・A・アーカー氏が提唱された「ベネフィットの3分類」では、
・機能的ベネフィット
・情緒的ベネフィット
・自己実現ベネフィット
の3つに分けられています。
機能的ベネフィットは商品の強みやメリットを指す
商品がいかに優れているのかを提案するときは、主に機能的ベネフィットが使われます。
安い、早い、長持ちする、便利、サポートが手厚い、実績が豊富など、商品の良さがわかる表現が機能的ベネフィットに該当します。
例:ロードバイクの機能的ベネフィット
速度が速い、車体が軽い、デザインがカッコいい
情緒的ベネフィットは商品によって得られる感情を指す
商品を手にすることで手に入れられる気持ちや感情を伝える表現は、情緒的ベネフィットに該当します。
安心感を得られる、自信がつく、友人と楽しく過ごせる、尊敬されるなど、商品を買ったらどんな未来を手に入れられるのかといった疑問に回答するようなパートとして、セールスの中に盛り込まれているケースがほとんどです。
お客様が望む未来と、商品の情緒的ベネフィットが合っていれば、たとえ高単価商品であっても、購買意欲を高めることができます。
移動時間が短くなる、上り坂でもラクに走れる、サイクリングが楽しくなる
自己実現ベネフィットは商品で自己実現ができることを指す
自己実現ベネフィットは、商品を手にすることで自分のやりたいことや達成したいことが実現することを訴える要素です。
今までできなかったやりたいことができるようになる、経済的な理由で叶わなかった夢が叶えられるなど、情緒的ベネフィットを人生レベルに昇華したものが自己実現ベネフィットであるイメージです。
通勤時間が短くなって、やりたいことに時間が割ける。肉体的にも精神的にも健康になれる。
自己実現ベネフィットがなければ高単価商品が売れない理由
高単価の商品を売るためには、自己実現ベネフィットの活用が必要不可欠ですが、なぜ自己実現ベネフィットがなければ売れないのか、その理由を知った上で活用する必要があります。
情緒的ベネフィットを売り出す商品が巷にあふれている
現在はインターネットが発展しているので、情報を発信したり、商品を販売したりする人が増えています。
noteやBrainなどの情報販売サービスで数千円から数万円で売られているものもあれば、YouTubeで無料発信している人もいます。
そのなかで、悩みや問題を解決するだけのセールスで高単価商品を販売するのは無謀に等しく、第一人者と呼ばれるほどの実績があって周りにファンがついていない限りは難しいでしょう。
お客様の人生における必要性を提示し切れていない
いくら商品が優れていても、単価が高ければお客様が感じるリスクは大きくなります。
失敗したらどうしよう、騙されたらどうしようかと、不安を抱きながら購入するかどうかを判断することになります。
人生レベルで必要な商品であることを証明するためには、自己実現ベネフィットが必要不可欠です。
この商品で人生が変わる、自分のやりたかったことがついにできるようになる、長年の夢が叶うとわかったら、前向きに購入を検討する割合が一気に高くなります。
数十万円、数百万円の商品を買うことで、自分の夢が叶うなら、購入したい人は増えるでしょう。
そう思わせるためにも、高単価商品を売るときには自己実現ベネフィットを有効活用する必要があります。
高単価商品を売るための自己実現ベネフィットの活かし方
むやみやたらと自己実現ベネフィットを使ってしまうと、逆に怪しまれる可能性があります。
お客様を納得させて、気持ちを高めるためには、自己実現ベネフィットの打ち出し方を考えなければいけません。
ただし、自己実現ベネフィットの打ち出し方は扱う商品によって変わり、具体的な方法を教えることは難しいので、最低限押さえておきたいポイントだけ厳選して解説します。
今の状況から抜け出せることを示す
何をやりたいのか、どんな夢をかなえたいのかは人それぞれなので、明確に示すことは難しいかもしれません。
しかし、現在の状況で感じている不満から解放できるようになると伝えることができれば、今の環境から抜け出せるのではないかとイメージできるようになります。
低収入で生活が苦しい、仕事が自分に合っていない、職場の人間関係が良くないなど、ターゲットの現状を把握して、その状況から解放されることを伝えることで、人生が変わると思ってもらえるキッカケになります。
自分の体験談から人生が変わったことを伝える
「人生が変わる」という言葉一つで商品を購入したい人はいないでしょう。どうして人生が変わるほどの商品であるのかを伝えるためには、自分の体験談を交えると効果的です。
当時は何に苦しんでいたのか、どうやって苦しみを克服できたのか、苦しみを克服できた現在はどんな生活を送っているのか、自分のやりたいことができるようになったのかを伝えることができれば、自分も同じように現状を打破できるのではないかと考えるようになります。
3つのベネフィットを違和感なくつなげる
先ほど紹介した機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、自己実現ベネフィットにバラつきがあってはいけません。
自転車ショップの店員に「このロードバイク、他の自転車よりも速いから、通勤時間が短くなりますよ。あまりにも速いからプロの競輪選手になって1億円プレイヤーになれますよ」という話を聞いたらどうですか?
「私もこのロードバイクを買って競輪選手で人生を変えよう」とは思わないはずです。むしろ嘘だと怪しむ人がほとんどでしょう。
この例えのように、自己実現ベネフィットをむやみに活用しては、高単価商品が売れるようにはならないので、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、自己実現ベネフィットが一貫している必要があります。
そして、一貫したベネフィット訴求がお客様の願望と一致していれば、高単価商品の販売で成功に近づくことができます。
高単価商品のセールスでは実現ベネフィットが非常に重要
今回は、高単価商品の販売で絶対に欠かせない自己実現ベネフィットについてお伝えしました。
高単価商品を販売するうえでは、機能的ベネフィットと情緒的ベネフィットに加えて、自己実現ベネフィットを盛り込む必要があります。
自己実現ベネフィットをセールスに活用することで、お客様が抱く商品のイメージが変わり、購入すれば今ある状況が変わって人生がもっと良くなると思わせることができて、高単価商品の成約率を高めることができるでしょう。
機能的ベネフィットや情緒的ベネフィットにこだわっている方は多くいらっしゃいますが、商品を購入した後の人生がどのようにより良くなるのかといった自己実現ベネフィットを突き詰めている方は少ない印象です。
この機会に、お客様の人生が好転するようなセールスになっているか、見直してみてはいかがでしょうか?